1.まず、お名前が千頭(チカミ)さんというのは、かなり珍しいですが、お名前のルーツなどお聞かせください。また、移住前はどこでどのような仕事をしていましたか?
僕も気になって調べてみたのですが、千頭という苗字は、祖父の出身地である高知県由来の名前のようで、かつて高知県には千頭(セントウ)村があってそれが訛って「チカミ」と呼んでいたようです。その村の出身者が千頭(チカミ)と名乗っていたというのが有力ですね。ただ静岡県大井川鉄道に千頭(チズ)という駅もありますから静岡県にも何か関係があるかもしれません。
僕自身は東京生まれ神奈川育ち、最初のキャリアは関西の会社でしたので、京都府に住んでいたこともあります。今の職場は都内にあるSaaS企業です。2022年10月に浪江に移住して今は提供しているサービスのセキュリティを担保、サービスが止まらないようにインフラを設計構築する仕事を在宅でしています。つまりフルリモートでお仕事させていただいております。
2.浪江町への移住のきっかけ、移住の決め手は何ですか?
もともと3.11を通して東北地方に思い入れがありました。当時の僕は飲食店チェーン店で人事の仕事をしていて、東北地方にも店があり、地震発生直後に行ったことは従業員の安否確認でした。もちろん安否確認も大事だと思いますが、みんな大変な状況にもかかわらず、これしかできないのか...と。その時の僕は自分自身に対して不甲斐なさを感じたんです。だからいつか東北に何か貢献したいと考えていました。
そんな思いを抱き続けていたら、2019年に浪江町でご当地アイドルが誕生。それがキッカケで浪江町との接点ができ、行ってみようと。行ってみると地元の方々の温かみ、エネルギッシュな姿にほれ込みまして、浪江町への訪問を重ねる度に地元の方々ともっと交流したいという気持ちと、ここに住んだら地域貢献も何か面白いことも出来るかも!と自分の直感を信じて移住を決意しました。
3.移住されてまだ間もないですが、どのようなプロセスで移住しましたか?
まず住む場所を見つけようと、ネット上の不動産紹介サイトで内見を申込み、それから1週間以内に現地に行ってその場で決めました。移住の決心から住む場所の確保まで、3ケ月もかかっていないと思います。
仕事については、勤めている会社に地方へ移住してリモート勤務が出来るという制度がなくてどうしようと...。 実は、会社に相談する前に住む場所の仮契約をしていたんです。そこで、一か八か浪江町への移住に対する思いを会社にぶつけたところ、経営陣が僕の思いを尊重してくれて快くOKしてくれました。
今もビデオ会議で毎日雑談に付き合ってくれたり、福島県の移住支援金の申請のことで相談に乗ってくれるなどフォローしてくれます。そんな勤め先にすごく感謝しています。

4.短期間での移住決断でしたが、ご両親の反対はありませんでしたか?
そうですねぇ、心配はしたとは思いますが反対はされませんでしたね。この前、親が浪江町を訪問してくれまして、浪江町の様子やご飯の美味しさにすごく満足していました。
放射線について心配してくれたも友人もいましたが、僕が調べた限り科学的に問題ないよと話したらみんな納得してくれました。
福島産の食材や福島で生活することへの安心感がどんどん上がっていることもあるかもしれません。この前東京に行ったとき、浪江町の鈴木酒造さんの日本酒をお土産に持っていったらすごく喜んでくれました。
5.現在はどのように仕事をされていますか?1日のスケジュールなど教えてください。
毎朝5時30分に起きています。理由があって仕事の前にウォーキングしたいからです。家を出て請戸川の河口付近まで歩いています。帰ってくるのは8時30分ぐらいで、軽く掃除や洗濯をして9時ごろから仕事を開始しています。
基本夜8時まで仕事をしていますが、実は業務中に1時間ほど仕事をサボッています。(笑)その間、何をしているかというと、道の駅やイオン浪江に行って浪江町産の野菜を買うというものです。早めに行かないと売り切れていることもあるので、売り切れているときはしょんぼりして帰ります。(笑)
仕事が終わったら、お酒を飲みながら買った野菜を使って料理をつくり夕食。夕食後、1時間ほど読書して夜10時ごろ就寝しています。

6.東京の企業に在籍しながら、完全リモートで仕事をされているとの事ですが、仕事をする上で不自由さは感じられませんか?
まったくありません。職場ではビデオ会議で円滑にコミュニケーションができていますし、上司や同僚もビデオ会議で僕の体調を確認してくれます。とはいえ、いつも元気なので心配はされててませんけど(笑)。
ちなみに、インターネット環境は非常に安定しています。通信状況が悪くてビデオ会議ができないという事はありません。なので、快適に仕事が出来ています。
移動手段ですが、車を持っていませんので、ほぼ徒歩です。よく話のネタで近くのコンビニまで20分、スーパーまで30分かかると言ってますが、歩くこと自体が好きですし、また、地元の方と挨拶できたり、会話もできるのですごく楽しいです。車では味わえない景色も楽しめますよ。
7.浪江町に移住してよかったと思うのはどんな事ですか?
浪江町での生活が健康的すぎて1ケ月で5キロ体重が減りました。都心部だとスーパーが深夜まで開いているので、仕事帰りについ揚げ物とビールを買って、飲んで食べるを繰り返していたのがなくなったこともありますが(笑)、浪江に移ってからは、浪江町の野菜が安くておいしいため、野菜を中心とした食事をしており、毎朝歩くので適度な運動ができて、都心での生活とは違ったストレスフリーな生活が出来ています。だから痩せたのかなと。
それから浪江町は歴史の宝庫です。いろんなところを歩けば歩くほど、歴史の痕跡に遭遇できます。歴史好きの僕としては、毎日が興奮の連続です。
これは今後の楽しみですが、日本を代表する企業や官庁、大学の方々が浪江町に訪れていて、多くのプロジェクトや実験など新しい取組みが日々増えておりますので、人的交流や知的交流がもっと活発になることにワクワクしております。
8.逆に移住してみて大変だったと感じるのはどんな事ですか?
夜の明かりが極端に少ないことですね...。駅前のメインストリートの街灯だけは明るいのでその光を分けてくれといつも思っています。なので、夜中に歩くときは懐中電灯必須です。でも夜空は星々がハッキリと見えてすごく奇麗です。実家はJAXAのある相模原にあって、そこも星が奇麗ですが、浪江町の夜空はそれをはるかに凌ぐ奇麗さです。目の前でぱぁーっと広がる星空に本当に感動しました。
それと、店が閉まる時間が早いことですね。夜7時とか8時には閉まるお店が大半なので、夜中歩いていると寂しさを感じます。だから夕方までには買い物を済ませます。

9.浪江町でお気に入りの場所・食べ物があれば、好きな理由とともに教えてください。
お気に入りの場所は、請戸川と請戸川の浜です。請戸川が好きな理由は、ウォーキング中に地元の方とすれ違うことがあって、挨拶すると絶対に返してくださいますし、たまに会話してくださることもあるので交流のきっかけとなって楽しいからです。また、森林の香り、海辺に近づくと浜の香りと風の心地のよさもお気に入りポイントです。
お気に入りのご飯は、居酒屋「こんどこそ」さんのお料理です。理由は、以前浪江町に2日間過ごした際に2日連続でお邪魔させていただいたのが「こんどこそ」さんで、大将とスタッフさんの人柄がすごく良く、楽しく食事ができました。その時にいただいた「メロの塩焼き」と「稚鮎の天ぷら」が美味し過ぎてまた食べたいです。ちなみに先日移住後初めて「こんどこそ」さんに伺いましたら、僕のことを覚えてくださっていました。
焼酎のボトルキープをしていいますので今度一緒に飲みましょう!
10.楽しみにしています。リモートワークで気になることですが、仕事のオン・オフの切り替えがなかなか難しいと思います。千頭さんはどのように切り替えていますか? また、休日はどのように過ごしていますか?
朝のウォーキングと夜の料理づくりです。先ほど話したように、ウォーキングは地元の方々と触れ合える場でもあり楽しいです。また料理に関しては、浪江町には豊富な野菜が育ってますので、日々どんな野菜をどのように料理するか考えて楽しく実践しています。あと「のどぐろ」や「カナガシラ」など都心部のスーパーではお目にかからない魚が安く手に入りますので、料理のしがいがあります。休みの日は基本土日で、時間に余裕があるので遠出してますね。請戸漁港や棚塩地区など歩きまくっています。
駅近くにある図書館を利用したり、南相馬の原ノ町や仙台まで行くこともあります。浪江町にもイオンと無印良品がありますし、原ノ町や仙台に行けば何でも揃うので、買い物で困ったことはないです。もちろんAmazonもしっかり届きますよ。
最近、地元の方から軟式テニスに誘ってもらいました。まだ行けてないのですが、これまた楽しみです。

11.浪江町で今後楽しみにしていること、期待していることはどんな事ですか?
浪江町の経験と歴史、地元の方々の思いを交流を通して伺い知り、次の世代に繋げていきたいと思います。「まちづくりなみえ」さんのイベントや十日市祭などを通して地元の方々と知り合え、繋がる機会ができつつあり、今すごく楽しいです!これからもいろんなことに、表現が悪いのですが首を突っ込みたいと思います。
一方で福島国際研究教育機構が浪江町に設立されることになり、今後人的交流と知識の集積が凄まじい勢いで進むと思います。良いか悪いかは別にしても、シリコンバレーや深圳のように浪江町は化けるかもしれない。そんなダイナミックな「新化」にもワクワクしています!
12.千頭さんの今後の目標を教えて下さい。
浪江町の経済をもっと活性化させるプラットフォームを作りたいと思っています。まだぼんやりとしていますが、浪江町の商品や魅力を伝えるWEBメディアをつくりたいなと。メディア名は「ナミエウォーカー」か「浪江カレンダー」かなと...。そんなWEBメディアを通して浪江町の魅力が伝わり、特産物の販売に繋がったらいいなと夢を描いています。
それから、浪江町に家を造りたいですね。家といっても単なる自分の家ではなく、地元の人、企業の人、海外の人が交流して、新しいアイデアが生み出されるキッカケとなるような公共スペースをつくれたら面白いだろうなと日々妄想しております。
13.色々と具体的な構想をお持ちで頼もしいですね。では最後に、これから移住を検討されている皆様に一言お願いします。
浪江町には家賃補助制度があるのですが、僕は受けられていません。なぜなら、移住を検討したタイミングで「浪江町移住・定住相談窓口」に相談しなかったために、その制度と条件を知らず、条件に満たない住居を契約したためです。だから、皆さまはまず「浪江町移住・定住相談窓口」にご相談ください!決して僕を見習ってはいけません(笑)
それと、ぜひ浪江町に足を運んで欲しいです。今の駅前の様子を見ると、寂しい感じがして不安に思われるかもしれませんが、今後どんどん変わっていくでしょう。
そして不動産屋さんや飲食店でも何でもいいので、地元の方々と交流していただきたいと思います。みんな温かい方々ですので、いい出会いがあると信じてます。
最後に、不便さもあるかもしれませんが、不便さも楽しんでいただき、何よりここに来て皆さまもワクワクを感じてください!
